会話例

更新日:2022年03月01日

鳴沢村方言の会話例

むかしばなし「桃太郎」の一節を鳴沢ことばとで書いてみますが、多少のイントネーションのちがいは鳴沢にいらして方言達人の第一村人を発見してみてください。お年寄りが語る"なるさわことば"のやさしさに心和むひとときが味わえること確実です。

「むかしむかし、そのまっとまあっとむかし、おじいとおばあがあってなあ。おじいはやまい、もしっきりい、おばあわ川い洗濯に行っとおどおっちゅうわ。おばあが、川でせんたくうしてたらなあ、上の方からでっかい桃が、どんぶりっこ、どんぶりっこってって、流れてきとおどおっちゅうわ。おばあわ、そよお拾ってなあ、えさい(注釈1)もってきとおどおっちゅうわ。」 

晩げいより、おじいが、切っとおもや(注釈2)あ、背負子でしょって、えさい来たら、おばあわなあ『おじい、はげで(注釈3)来て見らっしゃい。こんなでかい桃が流れて来たっけじょ。珍らしかっとおそいで、拾ってきとおけんど、でっかいそいで、おまいに切っとけべえとおもって、待ってとおどおじょ。』

  • (注釈1) えさい…家に
  • (注釈2) もや…火を燃やしつけるための小枝
  • (注釈3) はげで…急いで

もう一つ祝い事(祝言しゅうげん)に呼ばれるときの会話です。

「おはよう、はいぶんだすとこどおか(注釈4)。ええ天気で嬉しいなあ。あのなあ、うらんげえでも、おかたあおけることになってよかっとぉわ。ほれで三日の晩げえより祝言のまにょおしたいそいで,忙しくてもおじいとおばあに来ておけてやあ。何のおそっぱいもなくて(注釈5)来ておけるっきりどおけんど頼むじょ」

「あいあいおごっそおだります。ほんに良かっとおな。ほてどっからおけとおだえ。ほうかえ、おおわらかえ、まあほんに良かっとうな。嬉しくて呼ばれていくじよ(注釈6)おごっそうよ。」
「こんばんわ、ほんにおめでとおござります。うらいらまで呼んでくれて、嬉しくて呼ばれてきとおじょ。」
「よくあいばせまして(注釈7)。ほんにうらんげえでも、これでええが固まって嬉しいわ。さあさあ上えあがってやあ。おそっぱいもないけんどゆっくらして祝っていってくよおんや。」
(まだまだ話しは続きますがこの辺で)

  • (注釈4) はいぶんだすとこどおか…もう(仕事に)でかけるところですか?
  • (注釈5) おそっぱいもなくて…おかまいもできませんが
  • (注釈6) じよ…「じょ」と区別している。「じよ」の方が丁寧で、目上の人に使う。
  • (注釈7) よくあいばせまして…よくいらっしやいました。

この記事に関するお問い合わせ先

企画課
〒401‐0398 山梨県南都留郡鳴沢村1575
電話番号:0555-85-2312
お問い合わせフォーム